居酒屋甲子園2023 アフタームービー制作
2023年10月31日、パシフィコ横浜 国立大ホールにて開催された「第16回 居酒屋甲子園 全国大会」。約5,000人の飲食業界関係者が集う、業界最大級の活性化イベントです。今回、株式会社moodはイベント全体企画・制作・演出・運営、登壇店舗のプレゼンテーションプロデュース、本番使用映像の制作、そして当日のダイジェストムービー撮影・編集まで、大会の根幹を担う形でプロジェクトに参画させていただきました。担当したのは杉田です。
2006年から続く居酒屋甲子園は、全国1,206店舗(第16回時点)のエントリーから勝ち上がった優秀5店舗が日本一を競う、まさに飲食業界の「甲子園」。コロナ禍を経て掲げられた2023年のテーマは「共に生きる」。この一言に込められた想いを、いかにステージという立体空間に翻訳し、5,000人の胸に届けるか——プロジェクトはその問いから始まりました。
本記事では、企画段階から本番、そしてダイジェスト納品に至るまでの制作プロセスを、制作者の視点からお伝えします。
このイベントの根っこにあるもの
居酒屋甲子園は、NPO法人居酒屋甲子園が主催する、外食業界に働く人がより誇りを持ち、学びを共有できる場を提供する大会です。「居酒屋から日本を、世界を元気にする」というビジョンと、「共に学び、共に成長し、共に勝つ」という理念のもと、2006年から毎年開催されています。
第16回となる2023年のテーマは「共に生きる」。理事長の氏田善宣さんは、このテーマに3つの意味を込めたと語っています。一つ目は「成長」——成功や失敗ではなく、挑戦を重ねた先にある確実なプロセスとして今日を懸命に生きること。二つ目は「変化」——時代に合わせて臆することなく変わり続けること。そして三つ目は「共働」——ライバル店舗、他業種、他団体、AIなど、あらゆる存在とシナジーを生み出していくこと。
コロナ禍をくぐり抜けてきた飲食業界にとって、「共に生きる」という言葉は単なるスローガンではありませんでした。仲間と、お客様と、そして地域と——それぞれの「共に」を背負って、登壇店舗5組が壇上に立つ。その重みを受け止めることが、自分たち制作チームの出発点でした。
イベント全体企画・制作・演出・運営|「共に生きる」を一日の体験に翻訳する
まず取り組んだのは、「共に生きる」というテーマを、開場から閉幕までの一日の体験設計にどう落とし込むかでした。テーマを言葉として説明するのではなく、来場者が席に着いた瞬間から、空気として感じ取れる構成にしたい。そう考えて、映像・音響・照明・ステージング・進行台本のすべてを「共に生きる」という一本の軸で貫いて設計しました。
第16回大会は、エントリー1,206店舗の頂点に立つ5店舗が壇上でプレゼンを行い、日本一を決定する構成です。約5,000人を収容するパシフィコ横浜 国立大ホールという大空間の中で、登壇者一人ひとりの表情や言葉が観客席の最後列まで届くように、ステージレイアウトや動線、照明のキューを設計していきました。
運営面では、全国から集まる出演店舗、サポーター企業、観客、そして審査員——立場の異なる方々が同じ空間に集う一日です。それぞれの動きが交わる導線をどう設計するか、当日のスタッフコミュニケーションをどう組むか。一日のすべてが「共に生きる」というテーマと矛盾しないように、細部まで意図を通しました。
プレゼンテーションプロデュース|5店舗の魂を、9分間の物語に
居酒屋甲子園の真骨頂は、登壇5店舗のプレゼンテーションです。それぞれの店舗が日々の取り組み、仲間への想い、お客様との物語を壇上で語り、日本一を決める。だからこそ、プレゼンテーションプロデュースは本プロジェクトの中でもっとも神経を使った領域でした。
各店舗との打ち合わせを重ね、その店だけが持つ物語の核を一緒に探していきました。何を伝えたいのか、誰に届けたいのか、どんな未来を仲間と描いているのか。言葉にならない想いを、言葉とビジュアルと立ち振る舞いに変換していく作業です。台本はもちろん、立ち位置、間の取り方、映像との同期、照明の明滅一つひとつまで、店舗の世界観に寄り添って組み立てました。
「日本一を決める大会」であると同時に、「自店の取り組みや想いを共有することで業界活性化をつくる」という大会の目的があります。だからこそ、勝ち負けを煽る演出ではなく、それぞれの店舗の歩みそのものが観客の胸に残るような、誠実な構成を心がけました。本番、壇上で涙ながらに語る登壇者と、それを真剣な眼差しで受け止める客席——その一体感は、制作者として一生忘れられない景色になりました。
本番使用映像制作|ステージに立つ前から、物語は始まっている
各店舗のプレゼンテーションには、登壇前に流れるオープニング映像や、語りの背景となる本編映像が欠かせません。本番使用映像制作では、5店舗それぞれに密着取材を行い、店舗の日常、スタッフの表情、お客様との関係性を映像に収めていきました。
映像が目指したのは、店舗の「らしさ」を増幅することです。同じトーンで5本を揃えるのではなく、店ごとに異なる空気感、リズム、色温度を見極め、それぞれの世界観に合った編集を施しました。プレゼンで語られる言葉と、スクリーンに映る情景が呼応した瞬間、観客の感情は一気に動きます。その瞬間を生むために、映像と台本を行き来しながら、最後の1フレームまで詰めていきました。
大画面のステージスクリーンで投影されることを前提に、引き画でも寄り画でも耐えうる解像度・コントラスト設計を行い、音響との同期も入念に確認。「ステージに立つ前から、その店の物語はもう始まっている」——そう感じてもらえる映像になっていれば、本望です。
当日ダイジェストムービー撮影・編集|余韻を、一本の映像に閉じ込める
本記事の冒頭でご覧いただいているアフタームービーは、当日の撮影から編集まで自分たちが一貫して担当した一本です。リハーサルから始まり、登壇者の円陣、ステージ上のスポットライト、客席のスタンディングオベーション、表彰の瞬間、舞台裏で抱き合う仲間たち——一日を通して動いたカメラが捉えた、削ぎ落とせない瞬間を約3分半に凝縮しました。
編集で意識したのは、「日本一が決まる大会」のドラマ性だけではなく、登壇5店舗それぞれの誇りと、それを支えた仲間たちの存在感を等しく描くことです。勝敗の先に残ったのは、「共に生きる」という言葉そのものでした。だからこそ、表彰の歓喜と、舞台裏で交わされる抱擁を、同じ熱量で並べました。
株式会社moodは、「『余韻』をデザインし、記憶に残る体験を」というフィロソフィーのもとで制作に向き合っています。大会が終わってからも、関わったすべての人の中に残り続ける何か——その「余韻」を一本のダイジェストムービーに閉じ込めることが、自分たちの最後の仕事でした。美しく、自分らしく。いいムードをつくる。その姿勢で、登壇者一人ひとりの表情を、丁寧に拾い上げました。
居酒屋甲子園の最新情報はこちらから
居酒屋甲子園は毎年テーマを掲げ、全国の居酒屋が一堂に会する大会を開催しています。次回大会の出場店舗・チケット情報・これまでの軌跡については、NPO法人居酒屋甲子園の公式サイトをご覧ください。
制作クレジット
制作:株式会社mood(杉田)
担当領域:イベント全体企画・制作・演出・運営、プレゼンテーションプロデュース、本番使用映像制作、当日ダイジェストムービー撮影・編集
「余韻」をデザインし、記憶に残る体験を。