LGF2024 アフタームービー制作
2024年11月16日(土)・17日(日)の二日間、横浜・赤レンガ倉庫の野外特設会場で開催された「Local Green Festival’24(ローカルグリーンフェスティバル/LGF2024)」。今年で5回目を迎えたこの秋フェスのアフタームービー制作を、株式会社moodがお任せいただきました。
2日間で延べ50,000人が集った会場の熱と、晩秋の横浜にしか流れない時間の質感。それらをどう一本の映像に閉じ込めるか。撮影前の構成設計から、当日の地上・空撮ワーク、そして編集卓での音と画の調律まで、自分が考えていたことを順を追ってお話しします。
映像は約2分46秒。マジックアワーの赤レンガ倉庫、ステージ袖からのみなとみらいの夕景、夜空に咲くラストの花火まで、現場で感じた「Life with Green」の空気をできるだけそのまま持ち帰っていただける一本を目指しました。
このイベントの根っこにあるもの
Local Green Festivalは、「GREENROOM FESTIVAL」を主催するGreenroom co.が手掛ける秋フェスで、2018年から横浜の地で続いてきました。掲げているコンセプトは「Life with Green」。グリーンとグッドミュージックが共にある暮らしを、フェスというかたちで提案する場所です。
2024年は、CACTUS STAGE・SOL STAGE、そして今年から新設されたHARVEST STAGEの3ステージ構成。電気グルーヴ、ウルフルズ、RHYMESTER、m-flo、SOIL &”PIMP”SESSIONS、水曜日のカンパネラ、OZROSAURUS、Ovall、chelmicoら、シーンを牽引する総勢30組のアーティストが2日間にわたって熱演を繰り広げました。ステージの周囲には、サボテンや多肉植物が並ぶグリーンマーケット、こだわりのフードエリア、アウトドアブランドが集うローカルマーケットが並び、音楽だけでは語れない「過ごし方そのもの」が会場全体に息づいています。
赤レンガ倉庫という横浜の象徴的なロケーション、そこに重なる音楽、植物、人。アフタームービーは、その重なりを「もう一度味わえる余韻」として残すための映像だと、自分は捉えています。
企画|「Life with Green」を映像の設計図に翻訳する
企画段階で最初に向き合ったのは、「Life with Green」というコンセプトをどう映像言語に置き換えるか、という問いでした。音楽フェスの熱量だけを切り取ったアフタームービーは世の中にたくさんあります。けれどLGFの場合、熱量と同じくらい、グリーンマーケットの穏やかな時間や、海風の通る赤レンガの空気感が大切な構成要素になる。
そこで、約2分46秒という尺の中に「日中の開放感」「マジックアワーの陶酔」「夜のクライマックス」という三層の時間軸を設計しました。アーティストのライブカットだけを並べるのではなく、空撮で捉えた会場の全景、観客の表情、ステージ袖から見た夕景までを織り交ぜることで、「その場にいた人の記憶の順序」に近い流れを目指しています。記憶に残る体験を映像でデザインする、moodがいつも大切にしている考え方を、企画書の一行目に置きました。
ディレクション|現場の熱量と編集の理性をつなぐ
ディレクションでは、現場で起きていることに反応する瞬発力と、最終的な一本に向けた俯瞰の視点、その両方を持ち続けることを自分に課しました。2日間・3ステージ・30組のアーティスト、さらにマーケットエリアの動きまで含めると、撮るべき要素は無数にあります。そのすべてをただ追うのではなく、「最終的にアフタームービーに残るカット」から逆算してチームに指示を出していきました。
撮影スタッフ、ドローンオペレーター、編集チームが、それぞれの判断で動きながらも同じ一本に向かっていける状態をつくる。事前の構成設計を共有したうえで、当日は無線とサインで連携しながら、ステージごとの照明変化や観客の盛り上がりのピークを取り逃さない動きを徹底しました。フェス制作の現場は、毎分が一回きりです。だからこそディレクションは、判断を遅らせないことが最大の仕事だと考えています。
撮影|赤レンガと夕景、その日にしかない光をつかまえる
撮影で意識したのは、LGFという場所でしか撮れない画を確実に押さえることでした。横浜赤レンガ倉庫を背景にしたステージ、その奥にそびえるみなとみらいのランドマークタワー、海から流れてくる風で揺れるフラッグ。これらは他のどのフェスにもない、LGFだけの絵画です。
晴天の真昼間、観客がステージに向かって手を伸ばすワイドショット。夕方に差し込むオレンジの光がアーティストの横顔を照らすステージ袖からのカット。日が落ちてからの、青と赤に染まる夜のステージとシルエットの観客。同じ会場でも時間帯によってまったく別の表情を見せる場所なので、時間ごとに「この瞬間はこのレンズ、この立ち位置」と細かく組み立てて臨みました。寄りのアーティストカットと、引きの群衆ショットを行き来させることで、ライブの臨場感だけでなく、その日その場の空気密度まで残せたと感じています。
ドローン|赤レンガ倉庫を上空から、フェスを地図のように見せる
ドローンの空撮は、このアフタームービーにおいて特別な意味を持つカットです。横浜赤レンガ倉庫という建築の重厚さ、その前に広がる野外特設会場、そこに集う5万人規模の人の流れ。これらを一枚の絵にできるのは、上空からの視点だけです。
日中の青空のもと、赤レンガの屋根と海、そしてステージの三角形のテントが画面に並ぶショットは、「ここがLGFだ」と一瞬で伝えてくれる存在感があります。安全運用と申請を遵守したうえで、人の動線や太陽の位置を読みながら、フェスを「地図のように」俯瞰できる画を狙いました。地上で撮るカットと空からのカットが交互に重なることで、映像を観た人がもう一度会場を歩き直しているような感覚を生み出せたと思っています。
編集|余韻をデザインし、もう一度赤レンガに帰れる一本に
編集卓では、ひたすら「余韻」を意識して画を組み立てていきました。アフタームービーは、フェスが終わった後に観られる映像です。観てくださる方の多くは、すでにその日を経験している。だからこそ、刺激的なカット繋ぎでテンションを煽るよりも、「あの日のあの瞬間」を呼び起こしてもらえる流れを優先しました。
序盤は赤レンガと観客の高揚で会場へ誘い、中盤でステージのピークと夕景を重ね、終盤はマジックアワーから夜へ、最後は花火と「THANK YOU FOR COMING / SEE YOU NEXT YEAR」のメッセージで締めくくる。約2分46秒の構成全体が、緩やかな放物線を描くように整えています。色味も、赤レンガの煉瓦色とグリーンマーケットの植物の緑、空のグラデーションが共存するよう、コンセプトの「Life with Green」に寄り添ったトーンに仕上げました。美しく、自分らしく。いいムードをつくる。moodのフィロソフィーを、最後のフェードアウトまで貫いたつもりです。
Local Green Festival 公式サイト
「Life with Green」の世界観、出演アーティスト、グリーンマーケットの情報など、Local Green Festivalの詳細は公式サイトをご覧ください。
制作クレジット
制作:株式会社mood(杉田)
担当領域:企画・撮影・編集・ドローン・ディレクション
「余韻」をデザインし、記憶に残る体験を。