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居酒屋甲子園2025 ステートメント動画制作

2025年11月11日、パシフィコ横浜 国立大ホールで開催された「第18回 居酒屋甲子園 全国大会」。約4,000名が集まるこの大会で、開会前に上映されるステートメント動画の企画・構成・編集・ディレクションを、株式会社mood(担当:杉田)が担当しました。尺は約53秒です。

前に置かれるものは、後に来るものより大きくなってはいけない|企画

ステートメント動画は、大会が始まる前に流れます。この位置に置かれる映像の役割は、盛り上げることではないと考えています。

本番でステージに立つのは5店舗です。ここで語り尽くしてしまえば、その言葉が痩せます。観客が「もう聞いた話だ」と感じた状態で本編が始まるのが、この映像にとって最悪の結果です。だから設計上のゴールを、語り切ることではなく、開いたまま終えることに置きました。

第18回のテーマは、第1回と同じ「夢」でした。9代目理事長・和田裕直氏(株式会社てっぺん 代表取締役)はこう語っています。「夢と聞くと、少し遠く感じる方もいらっしゃるかもしれません。でも私は、心が震えるもの、ワクワクするもの。『やってみたい』『知ってみたい』『行ってみたい』。そう感じた瞬間、それはもうすでに“夢”なんだと思います」。

遠いものではなく、すでに手元にあるものとして夢を定義する。この捉え方を、53秒でどう扱うかが企画のすべてでした。

きれいごとの夢は、この客席には届かない|構成

企画で最初に決めたのは、「夢」を上から語らないということでした。

飲食の現場には、毎日のように課題と困難が来ます。そのリアルから目をそらした夢の話は、客席に座っている経営者にも現場スタッフにも届きません。届かないどころか、白けさせます。

だから冒頭は「課題や困難が絶えない毎日は、まるで終わらないドラマのよう。」というシビアな一言から始めました。ここを飛ばして前向きな言葉から入ると、映像は他人事になります。まず今の自分に心当たりのある感覚を差し出し、そこから「しかし、その苦悩こそが物語を深く」していく、と転調させる。痛みを通過した先に夢があるという骨格を、最初の10秒に置いています。

53秒の中で、感情の起伏は何度もつくりました。前半は雑踏や会議室といった日常の風景から入り、中盤で「挑戦」「恐怖」を画面に大きく立ち上げる。「二元論では語れない価値観がある。」というメッセージで一度静寂をつくり、後半は居酒屋の店内、スタッフの笑顔、満席のカウンターでの乾杯へと温度を上げていきます。

最後に、答えではなく問いを返す|ディレクション

クライマックスに置いたのは、全国大会のステージで歓声に包まれる出場者の映像と、「あなたの夢はなんですか?」という問いかけです。

感動させて終わることもできました。ただ、それをやると視聴者は受け取る側で完結してしまいます。この映像の直後に始まるのは、5店舗が自分の言葉で夢を語る時間です。客席が受け取る姿勢のまま座っていたら、その言葉は届きません。だから最後は、答えではなく問いを返す形にしました。

素材の性質もバラバラでした。俯瞰の映像、現場で働くスタッフの実写、抽象的なグラフィックインサート、全国大会本番のステージ映像。本来まったく違う文脈のものです。これを「夢」という一語のもとに束ね、一本の語り口として着地させることに時間を使いました。色設計も、暗から明、モノクロからフルカラーへと感情曲線に合わせて推移させ、最後の書道調のロゴで静寂に落としています。

4,000名が同時に観るという前提|編集

編集では、パシフィコ横浜の大ホールで約4,000名が同時に観るという前提を置いています。

手元の画面で観るのとは条件が違います。巨大スクリーンと音響で体感される映像は、わずかなテンポのズレが空間全体の空気を冷まします。カットの切り替わりをフレーム単位で調整し、ナレーションの息継ぎと映像の切り替わりが同期するように詰めました。

前半の抽象パートではあえて間を残し、後半の居酒屋シーン以降はテンポを上げる。最後のホワイトアウトから「居酒屋甲子園」の書ロゴが立ち上がる瞬間に、会場全体の呼吸が揃っていること。そこを編集の山場に置いています。この映像が終わった直後、本大会のオープニングへ自然に気持ちが流れ込む。その導線をつくることが、ステートメント動画に求められている役割だと考えています。

居酒屋甲子園2025の最新情報はこちらから

第18回大会の振り返りや次回大会の最新情報は、NPO法人居酒屋甲子園の公式サイトで随時更新されています。

制作クレジット

制作:株式会社mood(杉田)

担当領域:居酒屋甲子園2025 ステートメント動画 企画・構成・編集・ディレクション

「余韻」をデザインし、記憶に残る体験を。