WORKS

居酒屋甲子園2023 アフタームービー制作

2023年10月31日、パシフィコ横浜 国立大ホールで開催された「第16回 居酒屋甲子園 全国大会」。約5,000人の飲食業界関係者が集まる大会です。株式会社mood(担当:杉田)は、イベント全体企画・制作・演出・運営、登壇店舗のプレゼンテーションプロデュース、本番使用映像の制作、当日のダイジェストムービー撮影・編集を担当しました。

「共に生きる」を、説明せずに空気にする|イベント全体企画・制作・演出・運営

2023年のテーマは「共に生きる」でした。理事長の氏田善宣氏は、この言葉に3つの意味を込めたと語っています。成功や失敗ではなく挑戦を重ねた先にあるプロセスとして今日を懸命に生きるという「成長」、時代に合わせて臆せず変わり続けるという「変化」、そしてライバル店舗や他業種、他団体、AIまで含めたあらゆる存在とシナジーを生むという「共働」です。

コロナ禍をくぐり抜けた直後の業界にとって、この言葉はスローガンではありませんでした。

設計で決めたのは、このテーマを説明しないことでした。司会が意味を解説したり、スクリーンにテーマの定義を出したりすることはできます。ただ、共に生きるという状態は、説明されて理解するものではなく、その場にいて感じるものです。だから映像・音響・照明・ステージング・進行台本のすべてを、この一本の軸で貫くほうを選びました。来場者が席に着いた瞬間から、空気として伝わっている状態を目指しています。

全国1,206店舗のエントリーから勝ち上がった5店舗が壇上に立ちます。約5,000人を収容する大ホールで、登壇者の表情と言葉が最後列まで届くように、ステージレイアウト、動線、照明のキューを設計しました。

店ごとに違う空気を、そのまま残す|プレゼンテーションプロデュース・本番使用映像制作

プレゼンテーションプロデュースでは、各店舗と打ち合わせを重ね、その店だけが持つ物語の核を一緒に探しました。何を伝えたいのか、誰に届けたいのか、どんな未来を仲間と描いているのか。

言葉にならないものを言葉にしていく作業ですが、こちらが先に言ってしまわないことを守っています。代わりに言語化してあげたほうが早い場面はあります。ただ、それをやると当日ステージで話しているのは自分たちになる。台本、立ち位置、間の取り方、映像との同期、照明の明滅まで詰めますが、詰める方向は「整える」ではなく「その店の世界観に寄せる」です。

本番使用映像でも同じ判断をしました。5本の映像を同じトーンで揃えることもできます。そのほうが大会全体としては統一感が出る。けれど、店ごとに違う空気感、リズム、色温度をそのまま残すほうを選びました。5店舗が同じ顔になってしまえば、共に生きるというテーマと矛盾します。各店舗に密着取材を行い、店舗の日常、スタッフの表情、お客様との関係性を収めています。

勝敗を煽らない|当日ダイジェストムービー撮影・編集

居酒屋甲子園は日本一を決める大会であると同時に、自店の取り組みと想いを共有することで業界を活性化させるという目的を持っています。

この2つは、演出の作り方が正反対になります。勝敗のドラマを立てれば会場は盛り上がりますが、盛り上がるほど「勝った店の話」になり、共に学ぶという理念から離れていく。だから勝ち負けを煽る演出は使いませんでした。それぞれの店舗の歩みそのものが客席に残る構成を選んでいます。

ダイジェストムービーの編集でも、この判断を通しました。リハーサル、登壇者の円陣、ステージ上のスポットライト、客席のスタンディングオベーション、表彰の瞬間、舞台裏で抱き合う仲間たち。約3分半に収めるにあたって、表彰の歓喜と、舞台裏で交わされる抱擁を同じ熱量で並べています。勝った瞬間だけを山にすれば分かりやすい映像になりますが、この大会が残したものはそこではありませんでした。

自分たちが成果物と考えているのは、当日ではなく余韻です。大会が終わったあと、関わった人の中に残り続けるもの。それを一本に閉じ込めるのが、最後の仕事でした。

居酒屋甲子園の最新情報はこちらから

居酒屋甲子園は毎年テーマを掲げ、全国の居酒屋が一堂に会する大会を開催しています。次回大会の出場店舗・チケット情報・これまでの軌跡については、NPO法人居酒屋甲子園の公式サイトをご覧ください。

制作クレジット

制作:株式会社mood(杉田)

担当領域:イベント全体企画・制作・演出・運営、プレゼンテーションプロデュース、本番使用映像制作、当日ダイジェストムービー撮影・編集

「余韻」をデザインし、記憶に残る体験を。