GREENROOM FESTIVAL 2025 アフタームービー制作
GREENROOM FESTIVAL 20th Anniversaryのアフタームービー制作を担当しました。2005年のスタートから20年、「Save The Ocean」というコンセプトを一度も変えずに掲げ続けてきたフェスの節目の年です。尺は76秒です。
名前が、撮り方を決めていた|ディレクション
GREENROOM FESTIVALは、サーフカルチャー・ビーチカルチャーをルーツに持つMUSICとARTのカルチャーフェスティバルです。音楽とアートを通じて海やビーチのライフスタイルを伝え、全国で減少しているビーチと海を次の世代に残す。その意志で20年続いてきました。
オーガナイザーの釜萢直起氏の言葉に、こういう一節があります。「Greenroom──チューブの中の中間。それはSurfingをする者にとって最高で特別な空間。新しい風が小さな流れを作り波となり、小さな波が集まり大きな波となる、そして、最高のグリーンルームを創る。」
グリーンルームとは、波のチューブの内側のことです。名前がそう言っている以上、このフェスを撮るというのは、ステージと観客を外から記録することではないと考えました。小さな波が集まって大きな波になる、その瞬間そのものを定着させる。企画段階で自分に言い聞かせたのは、そこでした。
20年を、懐古にしない|構成
20周年の節目なので、過去を振り返る構成にすることはできました。歴代のアーカイブを並べれば、それらしい記念映像になります。
ただ、それをやると20年が終着点になってしまいます。このフェスが掲げてきたのは「次の波を作る」ことです。だから企画の出発点を、過去への懐古ではなく、ここからまた新しい波が始まるというメッセージに置きました。
冒頭はメインステージ「GOOD WAVE」の大型LEDと観客の波で世界観を提示し、夜空に上がる花火で20年を讃えます。そこからフードエリア、SURF MARKET、ART GALLERYへ。このフェスがライブだけで成立していないこと、海と街と人の暮らしが地続きであることを伝えるパートを差し込みました。中盤の「20TH ANNIVERSARY」のサインカットは、過去と未来を繋ぐブリッジとして、意図的にゆっくり見せています。
ラストは、横浜港の上空から赤レンガ倉庫・ステージ・観客・船・夜景をすべて一画面に収めたドローン俯瞰に、花火とロゴが重なる構図で締めました。「これがGREENROOM FESTIVALだ」を、説明ではなく光景で伝え切る設計です。
全アクトを、同じ撮り方にしない|撮影
会場には「GOOD WAVE」「BLUE SKY」「RED BRICK」「PORT LOUNGE」の4ステージと、ART GALLERY、SURF MARKET、FOOD AREAが横浜赤レンガ地区の敷地に点在しています。限られた時間で拾うため、シネマカメラ・ジンバル・ドローン・固定カメラを役割分担で並走させました。
そのうえで徹底したのが、全アクトを同じ撮り方にしないことです。効率だけを考えれば、統一したフォーマットで回すほうが確実に成立します。ただ、それをやると出演者の個性がフレームの中で死にます。ヒップホップアクトでは煽りの強いローアングルで、シンガーソングライターでは逆光と海風を活かしたシルエットで、DJパートではLEDの発色そのものを主役にしたフレーミングで。レンズ選択とライティングへのアプローチを、アクトごとに切り替えています。
観客の体験を、1ミリも邪魔しない|ドローン撮影
横浜港・赤レンガ倉庫・観覧車・海上の船舶という、この場所でしか成立しないロケーションがあります。ドローンで撮らない選択肢はありませんでした。
昼の俯瞰カット(観覧車・海上保安庁の船舶・GOOD WAVEステージ・人の波を一画面に収めた1ショット)と、エンディングの夜の花火カット。この2カットには、申請から飛行ルート設計、運営チームと関係各所との安全管理のすり合わせまで、本編で最も時間をかけました。
現場での条件は一つでした。観客の体験を1ミリも邪魔せず、それでも誰も見たことのない画を獲ること。撮影の都合で来場者の時間を止めてしまえば、その映像は本末転倒になります。
76秒で、感情の起伏をスコアにする|編集
76秒は、3日間・45組以上のアクト・全エリアを伝えるには短すぎます。だからカット割りの緩急に神経を使いました。
序盤の花火と歓声で引き込み、フードやアートのカットで呼吸を入れ、アーティストパートで再加速、ラストの俯瞰でゆっくり余韻に着地させる。音楽との同期だけでなく、視聴者の感情の起伏をスコアにして組み立てています。
カラーグレーディングでは、屋外の昼シーンで横浜の海と空の青を残し、夜のステージはアーティスト固有の色設計を尊重しました。フェス全体に通底する空気感は守りつつ、出演者一人の個性は潰さない。この匙加減が編集の核でした。
この映像が達成すべきゴールは、2026年もここに行きたいと思わせる、その一点です。記録映像ではなく、フェスの価値観を次の波へつなぐための一本として作りました。
GREENROOM FESTIVAL 公式サイト
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制作クレジット
制作:株式会社mood(杉田)
担当領域:撮影/編集/ドローン撮影/ディレクション
「余韻」をデザインし、記憶に残る体験を。