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GREENROOM FESTIVAL 2026 アフタームービー制作

GREENROOM FESTIVAL 2026のアフタームービー制作を担当させていただきました。2026年5月23日(土)・24日(日)、横浜赤レンガ倉庫。20周年という大きな節目を越えた、21年目のフェスです。

波の思想を、映像の構造にする

GREENROOM FESTIVALは「Save The Ocean」をコンセプトに掲げる、MUSICとARTのカルチャーフェスティバルです。オーガナイザーの釜萢直起氏は、フェスの名前についてこう語っています。グリーンルームとはチューブの中の中間、サーフィンをする者にとって最高で特別な空間であり、新しい風が小さな流れを作って波となり、小さな波が集まって大きな波となる、と。

この一節は、単なる名前の由来ではなく組織論そのものだと考えています。一人の意志が波を起こし、それが集まって大きなうねりになる。だとすればアフタームービーの仕事は、ステージを記録することではなく、その「小さな波が集まっていく過程」を72秒の構造として翻訳することになります。今回の企画は、この一点から逆算して組み立てました。

ゴールから逆算する|72秒で何を残すか

制作に入る前にまず決めたのは、この映像を観た人にどんな状態で画面を閉じてほしいか、でした。演出案から入らず、ありたい姿から逆算してゴールを言語化する。これは自分がイベントでも映像でも変えていない進め方です。

20周年の翌年という位置づけを踏まえたとき、答えは「懐かしさ」ではありませんでした。記念の年が終わってもこのフェスは続いていく、そして次の波はもう始まっている。そう感じてもらうことをゴールに置き、そこから逆算して尺・構成・エンディングの文言までを決めています。

感情曲線を先に引く

イベントの現場では、タイムテーブルに進行だけでなく感情の起伏を書き込みます。どこで高鳴り、どこで静まり、最後にどんな気持ちで会場を出るのか。72秒のアフタームービーでも、やっていることは同じです。

冒頭はステージ上のアーティストとオーディエンスの熱量で一気に引き込み、中盤でアート展示や昼の会場、友人同士で過ごす何気ない時間へと呼吸を落とす。終盤で夜の横浜港と観覧車、ステージの光量に戻して再加速する。熱狂と余白を交互に置く波形を先に引いてから、素材を当てはめていきました。

撮影|ステージだけがフェスではない

ライブパートでは、アーティストごとに画角とレンズを変え、同じ絵が続かないよう設計しています。演奏する指先、照明が抜けた瞬間のシルエット、客席から突き上がる腕。記録ではなく体温が伝わるカットを優先しました。

同時に、意識的に厚く撮ったのがステージ以外です。会場内のアートギャラリー、赤レンガ倉庫を背景にした人の流れ、海辺で過ごす時間そのもの。ここを削ると「音楽フェスの記録」になってしまう。MUSICとARTのカルチャーフェスティバルという定義を映像の情報量で守ることが、このフェスの言語を演出言語に翻訳するということだと考えています。

ドローンによる空撮も、絵の派手さのために飛ばしているわけではありません。みなとみらいの夜景、観覧車、海に面したステージ。この土地でしか成立しない要素を一つの画に束ねることで、Save The Oceanというコンセプトが抽象論ではなく実在する風景と結びついていることを示せます。飛行ルートと安全管理は運営チームと事前に詰め、来場者の体験を止めないことを最優先にしました。

余韻をデザインする

自分たちが成果物と考えているのは、当日ではなく終わったあとに何が残るかです。だからラストカットは、盛り上がりの絶頂ではなく「THANK YOU FOR COMING. SEE YOU NEXT YEAR.」という一枚に着地させました。

観終わった人の中に残るのが「楽しかった」ではなく「来年も行こう」であれば、この映像は仕事をしたことになる。小さな波が集まって大きな波になるというフェスの思想に、映像の側から一枚だけ波を足す。そういう役割を担わせたつもりです。